こんにちは。プロダクト開発チーム サブマネージャーの富田です! 主に社内の「データ製造部門(DMF)」向けの内部システムの開発を担当しています。
弊社ではMusubuという企業データ情報サービスを提供していますが、この企業データを作成する部門が「DMF」です。 (Data Manufacturingの略です。)
開催したきっかけ
先日、DMFで組織改編が行われ、プロダクトオーナー(PO)が変更になりました。 開発部門でも新しい方が入社されたので、いい機会かと思い、アジャイルのワークショップを開催することにしました。
以前、紙飛行機を使ったワークショップを開催したのですが、今回は、新しいPOの方をメインターゲットにしたかったので、開発よりもプロダクトを意識したものにしたいと考えました。
そこで「レゴスクラム」をやってみることにしました。
どんな感じで開催したの?
レゴスクラムは、LEGOで街を作っていくワークショップです。
このワークショップ、どんな感じのものなのかは知っていたのですが、実際に体験したことが無かったので、lego4scrumやネット上の記事を読んだりしたものの、若干手探りな状態となってしまいました。 (いつかちゃんと参加者として体験してみたい!)
ネットの記事を見ると、チームに分かれて、それぞれのチームが作りたい街を別のチームが作る、という形で進めることが多いようでしたが、今回は私の方で予め作りたい街を用意しておくことにしました。
ずばり「休日に運動が出来る街」です!
街にどんな施設が欲しいかという要望は、下記のような感じで作成しておきました。
お父さんとして、ジョギングできる道が欲しい。 なぜならば、リモートワークの運動不足を解消したいからだ。
会社員として、スキー場が欲しい。 なぜならば、スノボが趣味で、毎年冬は泊りがけでスキー場に行くからだ。
参加者は下記のような感じでした。
- エンジニアメンバー2名
- DMFメンバー4名
- 採用メンバー1名
また、今回は「見積もり」は行いませんでした。 私自身がこのワークを体験したことが無く、あまり要素を盛り込みたく無かったからです。
ワークショップの進め方
最初にアジャイル・スクラムの座学を10分程行い、今回のワークショップの狙いについて共有しました。 今回はプロダクトを意識した感じです。
その後、下記のように進めました。
- どう作っていくのかの検討(リリース計画)
- 実際に作ってみる(スプリント)
- ワークショップのふりかえり
リリースを計画してみる
プロダクトのゴールを意識してもらいたかったので、最初にどう作っていくかの計画を考えてもらうことにしました。
作りたい街の要望をどんな順番で実現していくのか、POと開発チームが相談しながら計画を練っていきます。
例えば、↓の要望に関しては、「ラウンドワンは必要なのか?色々なスポーツが出来る施設があれば良いのでは?」というように、目的部分から作るべきものを検討していたりしました。
高校生として、ラウンドワンが欲しい。 なぜならば、色々なスポーツを楽しめるからだ
10分間、色々と検討して、なんとなくまとまってきたようです、、、
作ってみる!
1スプリントは下記のような感じで、3スプリント実施しました。
- プランニング(3分)
- 実施(7分)
- レビュー(3分)
- ふりかえり(3分)
プランニング
プランニングでは、POから何をスプリント内で実現したいのか開発に伝えてもらい、開発はどうやったら実現出来るのか考えてもらいました。
たとえば、POが↓の要望を出した時、すでにプールは作っていたので、開発チームから「プールの水を凍らせるマシンを設置することで実現すればどうか」という提案が出ました。
高校生として、スケート場が欲しい。 なぜならば、冬にスケートを上達したいからだ。
POと開発チームが話し合い、凍結マシーン(っぽいLEGOブロック)を設置するということで実施内容が決定しました。
実施
レゴの種類を分ける人が出てきたり、レゴ置き場近くで仮組みをしてみたりと、スプリントを進めるに従って、色々な改善を行っていました。
コミュニケーションと距離
また、POと開発チームの「距離」も意識することが出来ました。
最初、POは開発チームが作業している時、少し離れた場所に居たのですが、3スプリント目では開発チームの近くに居るようになりました。
作業中、力を入れすぎて「屋根」が崩れてしまったのですが、POが横で見ていたので「障害が発生した」状況もリアルタイムに知ることが出来ました。 また、開発チームからの質問にもすぐに答えることが出来るようになっていたようです。
リモートベースになって難しくなってしまいましたが、「全員同室」の利点を感じてもらえたのではないかなと思います。
真ん中の後ろ向きの女性がPO。開発チームの様子を見に来ています。
エンジニアメンバー以外の開発体験
今回、エンジニア以外のメンバーが半数以上だったのですが、要件に沿って何かを期間内に作るという体験が出来たのではないかと思います。
欲しい形のLEGOが見つからなかった時「技術的にちょっと厳しいです」と、エンジニア的な会話も飛び出したりしていました!
レビュー
レビューでは、POがプランニング時に立てたゴールを実現出来ているか確認します。 開発チームは、説明やデモ(扉を開けたりとか)を行います。
たいてい要望どおりのものが出来ていたのですが、↓の要望に対して、開発チームが「馬屋」作ってしまうことがありました。
馬として、乗馬場が欲しい。 なぜならば、人を乗せて全速で走りたいからだ。
POとしては、「馬屋では全速で走れない」ということで、この成果物は「却下」されました。 プランニング時にしっかりゴールを共有する必要があるという気付きになったようです。
街が出来上がりました!
やってみてどうだったか?
ワークショップを終えてみて、簡単にふりかえりを行いました。
よかったこと
- もっと要件を擦り合わせる必要があるという気付きがあった
- 1サイクル内で出来る事・出来ない事を試す事が出来た
- 最初に要件を読み合わせてイメージを共有することが出来た
- スプリントを進めると、作るものが増えた
もっとよくできそうなこと
- コミュニケーションをもっと工夫すればよかった
- 「何のために必要か」をもっと意識する必要があった
- (今回はオフラインだったが)リモートだとコミュニケーションの工夫が必要に感じた
POをしてみた感想
POからも参加した感想を頂きました!
プロダクトオーナーがやるべきことについて座学では概要を把握していたものの、身近なテーマとレゴを使って進めていくことでよりスクラム開発への理解を深めることができました。
今回は誰でも理解できる身近なテーマだったので、「この要望とこの要望は近い」「この施設はこれに変換できる」といった判断が比較的イメージしやすかったですが、実際の業務においてはステークホルダーの求める像の理解と開発の方と会話できる下地がとても重要で、プロダクトオーナーを務めるには幅広い知識とコミュニケーションを継続して行わなければいけないなと改めて痛感しました。
とても記憶に残るワークショップだったので、時々思い出しながら普段の業務に活かしていきたいと思います!
概ね好評そうだったので良かったです。 狙っていたプロダクトゴールを意識した開発の体験も、ある程度出来ていたのではないかと思います。
ただ、ワークショップ自体のふりかえりとして「リリース計画とスプリントプランニングの棲み分けが分かりにくかった」ということも挙がっていたので、次回開催時はもう少し改善出来ればと思います!